緩和ケア

緩和ケアに対する考え

痛みや不安を一緒に寄り添いながら考える。それも訪問診療の大きな役割

緩和ケアは、身体的な痛みを和らげることから始まりますが、それだけではなく、不安や孤独感、死に対する思いなど、それぞれの苦しみに寄り添い、心の負担を軽くすることも私たちの役割だと考えています。

例えば、がんによる痛みは、「この痛みがいつまで続くのだろうか」と痛みそのものだけでなく、不安やストレス、今まで通りの生活ができなくなる悲しみなど、さまざまな気持ちの変化をもたらします。
病は生きる意味さえ見失うきっかけにもなるものです。この苦しみはご本人にしかわかりません。
病気ではない人からすると、「なんとかしてあげたい」「できる治療があれば力になりたい」という思いがあることでしょう。しかし、それが時として、本人にとっては重荷になってしまうこともあります。

訪問診療では、あえて治療を中断するという選択肢がご本人の身体的・精神的負担を減らし、QOL(生活の質)の向上につながることもあります。どのような選択肢を本人が望むのか、これまでの生き方や家族と関わり方を考慮した緩和ケアをご提案いたします。

がん末期の緩和ケア医療用麻薬持続皮下注射
緩和ケアに用いられる代表的なお薬であるモルヒネについては、病院での使用方法でご自宅で取り扱うことができます。訪問診療で持続皮下注射の対応していますので、適切なお薬の管理がご自宅で可能です。
緩和ケアの選択肢のご説明
緩和ケアを希望されるご本人から想いをお伝えすることが難しいこともあります。どんなことをしたら、本人はどんなふうになるのか、そういったわかりやすい言葉で私たちはご本人に代わり、緩和ケアの選択肢をご説明いたします。
万が一、再入院が必要になった時も安心の連携体制
自宅での緩和ケアに移行する際、ご家族から「もしも入院が必要になったら、受け入れてもらえるのだろうか」といったご相談をいただきます。当法人では、緩和ケア病棟と密に連携を図り、入院が必要な際の手続きもサポートしておりますのでどうぞご安心ください。

緩和ケアのサポート・連携体制

充分な情報提供と各専門チームとの連携

緩和ケアの方法については、本人・ご家族・各関係者と連携を取り合いながら方針を決定します。本人が意思を伝えられるか、身近にご家族はいるかなど、それぞれの状況は異なります。どんな状況であっても私たちは医療の選択肢を十分に説明するとともに、各専門分野の方々と連携を取りながら、本人が望む医療を1つのチームとなり支えてまいります。

訪問診療における
医療の立ち位置

大切なのは医療を押し付けることではなく、正しい情報をわかりやすく伝えること

医療には、病気を治す“CURE”と、病気を抱えた患者さんの生活を支える“CARE”があります。
緩和ケアをご自宅で過ごす時間において、医療者が果たす役割は、この“CARE”の部分が大きいと感じています。
訪問診療は、患者さんの住まいやご家族、日々の生活、人生そのものに深く寄り添い、そして最期の瞬間まで関わる医療です。

本人にしかわからない痛みや苦しみ、不安を第三者である私たちが本人に代わり、そのまま伝えることは、簡単ではないかもしれません。しかし、緩和ケアの中で用いる薬やその効果について、私たちが代弁し、わかりやすくお伝えし、共有することができれば、ご本人もご家族も安心できると思っています。
緩和ケアの内容・期間・関わり方は一人ひとり大きく異なります。
だからこそ、私たちは正しい情報をわかりやすく伝え、安心へつなげていけたらと思います。