おととい、大阪の愛染橋病院の副院長が、飲酒後に分娩を取り扱っていたというニュースが報じられました。
みなさまは、このニュースをご覧になって、どんなことを考えられましたか?
僕個人の見解をここに書きたいと思います。(あくまでも僕個人の意見です)
飲酒後の診療、そんなものはなければないに越したことはありません。
でも、勤務医時代、僕も仕事を終えて、外に飲みに行って、その後、病院に戻ってきて、病棟でカルテ書いたり、していましたよ。
分娩とは、レベルが違うといわれるかもしれません。
では、どうしましょう。
当直がいます。その当直にすべて任せればいいですか?その当直がまだまだキャリアの少ない医師でもOKですか?
それで医療事故が起きたら、それはそれで騒ぎませんか?
逆に、僕ら医師も人間です。仕事が終わった後に、ストレス発散もあるでしょう、付き合いもあるでしょう、お酒飲みます。
お酒飲んだら、もうその後は、病院からどんなに依頼があっても、「お酒、飲んじゃったから、診療は出来ません。ほかをあたって」と断ればいいですか?
そうしたら、病院たらいまわし報道、しないですか?
もしくは、医師たるもの、患者さんがいるのだから、飲酒なんて言語道断と、言われますか?
そうすると、医師は今以上に現場を離れていきますよね。そして、患者さんをみる医師はいなくなる。
国民の皆様はそれを望んでいるのでしょうか?
そんなことはないですよね。でもでも、よく考えてみてください。絶対にこれからこの流れになりますよ!
医療崩壊はもうとっくに始まっています。これからの問題ではありません。もう後戻りはできないところまで来ているのかもしれませんが。
そんな気持ちを前々から持っているのですが、今回の報道では、厚生労働省は「飲酒後の診療なんて言語道断。飲酒運転以上に悪質だ」と述べています。
そもそも、そういった医療体制にならないようなシステム作りがなされていますか?
そういった監督業務、あなた方はしてますか?
当直をした医師が次の日に代休とるなんて出来ません。
みんな疲弊しきっています。研修医だけ休みをあげればいいという問題ではありません。
その上の中間医が疲れてしまいます。
でも、世間の風当たりが強いと、疲れた医師たちは心が折れてしまって、何も言いません。
言わないで、現場から立ち去るのです。
これが、虎の門病院泌尿器科小松部長が書かれている「立ち去り型のサボタージュ」という言葉に表れてくるのです。
よーくよーく、皆様、考えてください。
飲酒後に診療なんてしなくても(仕事の後に医師が気楽にお酒をのめて)、日本の医療が過不足なく受けられるにはどういう方向を向けばいいのか。
飲酒後の診療がけしからんというだけじゃ、何の解決にもなりませんよね。
もちろん僕の持論はあります。
でも、皆様、ぜひ「その持論を聞かせろ」ではなく、自分はこういう点が問題で、こうするべきだと考えるが、あなたはどう思う?という視点を常に持っていきましょう。
マスコミの報道も、「へーそんなことがあったんだ」ではなく、その報道の真意はどこにあるのか、では、どうすべきなのか、そういったことを、みんなが考えていきたいものです。
今日は、えらそうに書いてしまいました。
これは、自分への言い聞かせでもあります。
ではでは。
そめクリの日常